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2016/04/29
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局所麻酔の偶発症:キューンの貧血帯
私たちが行う麻酔は全身麻酔とは区別して局所麻酔と呼ばれます。
その局所麻酔のうち、当該部位周辺を鈍化させる浸潤麻酔に対して、
神経の走行のより中枢側を麻酔し、その支配領域を全体的に鈍化させる
ものを伝達麻酔と言います。
浸潤麻酔で多くは十分な場合が多いため、この伝達麻酔自体は通常は
行わないのですが、麻酔の奏功が悪い場合(悪いことが予測される場合)や、
広範囲の施術の際は行うこともあります。
伝達麻酔直後に、解剖学的には関連がないと思われる場所がはっきりと
貧血状態(色が薄く白くなる)になることがあります。
この境界明瞭な貧血帯をキューンの貧血帯と呼びます。
偶発症といっても、通常は数分〜数十分、長くても数時間で消退するため、
重篤となるものはありません。
ただし、その後(1〜2日後)この貧血帯に一致して皮下出血が現れる場合は、
一般の内出血と同じ転帰を辿ります。すなわち、消失するのに2週間程度
要することがあります。
おそらくは麻酔薬に含まれる血管収縮薬の作用であろうと言われていますが、
原因ははっきりしないとされています。
頻度はかなり低いものです。
最初にも書きましたが、それほど重篤なものではありませんが、
顔面に出ることから紹介させてもらいました。