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2015/05/22
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炎症が強いと麻酔が効きにくいことが多いのはなぜ?

痛みが強く来院された場合、以前の日記でも麻酔は効きにくいというお話をしました。

今日はその話をしたいと思います。


キーワードは
麻酔効果
酸塩基平衡
pH

です。高校の化学のお話が出てきますが、なるべくわかりやすく書いてみたいと思います。



リドカイン(よしなか歯科クリニックで使用している局所麻酔薬)を代表とする局所麻酔薬は
化学式では
RN・HClという塩酸塩で表されます。

それが組織内へ入ると
RNH+⇔RN+H+
という酸塩基平衡の状態になります。
ここで一つ目のキーワードです。



次にこの酸塩基平衡となっているうち、RNの方が神経内へ浸透し、麻酔効果を発現します。
つまり麻酔効果があるのはRNのみとなります。
つまり麻酔液の100%が効果があるわけではないのですね。
ここで二つ目のキーワードです。



次に炎症が起こっている場所でのpHが問題となります。
炎症部位では組織がpHが低くなっています。
酸性に、H+が多く存在しているということになります。

この酸性が多い環境では先ほどの酸塩基平衡がどうなるか?それは
H+の数を減らすように分かれていたRNとH+が結びつき、RNH+の数が多くなります。
つまり麻酔効果のあるRNが少なくなることになります。
そのため麻酔が全く効かないという状況になってしまいます。



これが炎症部分に麻酔が効きにくい理由です。


次回は麻酔が効かない場合どうするかということについてお話します。






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