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入れ歯について知ろう−その12−入れ歯の安定剤は何がいい?その功罪
あと一週間で2月も終わりです。
もうすぐ春ですね、梅、桜、花見です。
今日入れ歯の安定剤についてご質問をいただきました。
入れ歯の安定剤、世の中にたくさんあります。
安定剤はいろいろ便利なのでよいのですが、先に結論から書くと
なるべく使わないで欲しいと思っています。
まず、色々な種類があるので大きく分けてみると
粉末タイプ:粉を振り掛けてくっつけます。
シートタイプ:紙のようなシートを裏に挟み込みます。
クリームタイプ:歯磨きペーストのようなイメージです。
クッションタイプ:クッションが入れ歯と歯ぐきの隙間を埋めます。
安定効果は下に行くほど高くなります。
でも、使うとすれば、 「粉末タイプ」と「クリームタイプ」でしょうか。
まず比較をしてみると、一番歯ぐきと入れ歯の間の厚みが出ないのはどれか、というと
粉末タイプです。量を間違えなければ、クリームタイプも厚みがほとんど出ないのです。
他のタイプのものは上手に使用しなければ厚みが出てしまうという欠点があります。
厚みが出てしまって何が問題なの?という疑問が出てくると思います。
実は入れ歯を支える歯ぐきがやせやすくなる可能性が出てきます。
順を追って説明します。
入れ歯が機能していくうえで必要なのは
かみ合わせ、つまり力のバランスで力を正確に粘膜へ伝えることと
適合、つまりその力を均等に歯ぐきへ分散すること
です。
入れ歯がしっかりと適合している(あっている)ことが必要な条件になります。
しかし、安定剤を使用するということはしっかりと適合している状態ではなく、
その発見を遅らせることになります。
あっていない状態では不均等に力が歯ぐきへ伝わり、歯ぐきがやせやすくなる
ということになります。
さらに、厚みが出やすいタイプの安定剤はこの不適合さを悪い意味でカバーしてしまい、
不均等な力が加わりやすくなる可能性があります。
粉やクリーム状であれば、そこまで厚みがでないので、くっつきません。しかしそれはいい意味で、
歯医者でのチェックが必要であることのサインです。
つまり
入れ歯の安定剤は粉末タイプかクリームタイプのものがよい
でも
できれば、入れ歯の安定剤を使用しないで欲しい
と考えます。
もちろん、歯ぐきの条件によってはしっかりとくっつきにくい方もおられるのも事実です。
入れ歯の安定剤を使用する際は、歯ぐきと入れ歯の適合状態をしっかりと確認すること
が必須なのです。
その上で使用することをお勧めします。
歯ぐきと入れ歯の適合がしっかりしているのであれば、厚みがそれほどないものが適しています。
粉末ならライオンから販売されている
『ファストン』
やアース製薬から販売されている『ポリグリップパウダー』
がよいと考えます。
クリームタイプなら
アース製薬の『新ポリグリップ 無添加』
小林製薬の『ミズグリップ』
でしょうか。
どれにしても、口の中や入れ歯に安定剤が残らないようにしないといけません。
——
おまけです。
どうしても歯が抜けてしまったりしたときに落ちてきて食べにくいなどのトラブルがあり、
修理(補修)などで対応できない場合があります。
そのときは新しく入れ歯を製作せざるを得ない場合がありますが、前の記事に書いた
通り、時間がかかります。
そういう場合にはより強力なタイプをおすすめすることはあります。
また、安定剤を使用すると入れ歯の調整ができません。
(しっかりとくっつくのですが、反面洗い流しができません)
歯医者でのお約束がある日は入れ歯の安定剤は使用しな方がいいです。