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2015/02/13
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入れ歯について知ろう−番外編−入れ歯の大きさは大きくした方がいい?
ためしてガッテンでお話しがでていた
"小さい入れ歯はダメで大きくしないといけない"
というのは8割正解で2割が間違い(というよりは例外がある)と考えます。
その1に書いたとおり、バランスで入れ歯は成り立っています。
このバランスは噛み合わせだけでなく、頬や舌、唇などの力のバランスも含みます。
その中で入れ歯を製作していくことになります。
このバランスのとれた空間をニュートラルゾーン、筋圧中立帯、あるいは補綴学的空間などと呼称されます。
この空間から逸脱すると入れ歯が外れやすい、あるいは外れる結果になります。
大きく入れ歯をしていくのは元々歯ぐきは咬合力を支える部分ではないという
理由があります。なるべく広い部分で咬合力を分散させる必要があります。
しかし、選択加圧印象でも少し述べたように、咬合力を受けるのに向き・不向きな
部分があります。
上顎では奥歯の部分、上顎結節と呼ばれる部分、下顎では頬棚と呼ばれる部分が咬合力を受けるのに
最も適しています。逆に神経の出口である部分や粘膜が薄い部分は不向きです。
話は変わって、唇や頬を引っ張ってみると、動く粘膜の部分と動かない粘膜の部分があります。この動かない粘膜の部分が比較的硬い歯ぐきで、入れ歯で覆うのに適している部分とされています。一方動く粘膜は口を開け閉めなどをすると動くので、ここを入れ歯で覆うと入れ歯が外れる力が働きます(しっかりとしている場合は粘膜が傷つくことがあります)
この動く歯ぐきと動かない歯ぐきの境界を齦頬移行部といい、これが入れ歯の大きさの限界となります。
入れ歯の型取りのもう一つの重要な点はこの限界部を型取りすることにあります。
手術でこの移行部の位置を変えることも一応は可能なのですが、個体差がある、つまり入れ歯で覆える部分には個人差があるため、入れ歯を大きくできないことも実はあります。
これが1つ目です。
先の筋圧中立帯ということをお話ししました。高齢者では、この筋力がアンバランスになることが様々な理由であります。
例えば、不随意的な運動(自然に口が動く)があったりした吸畷(赤ちゃんがおっぱいを吸うような反応)などの癖があると頬・唇の筋が強くなりますし、入れ歯を入れていない期間が長いと舌が大きくなります(これはまたの機会にお話します)
これらによって筋圧中立帯が小さくなってしまい、結果入れ歯を小さくせざるを得ないことがあります。
これが2つ目です。
あとは入れ歯自体が気持ち悪いという人です。嘔吐反射が強い人は口の中に異物が入るとえづく人がいます(食べ物だと大丈夫なのがとても不思議なのですが)。また、骨の隆起(こぶ)のせいで通常の義歯を作るのが難しいという人もいます。
こういう方の場合は、義歯そのものが使えないため、しっかりと入れ歯を小さくすることのデメリットをお話しした上で入れ歯を小さくせざるを得ないことがあります。
これが3つ目です。
いかがでしょうか、入れ歯の大きくすることは大部分の人にとっては大事なことですが、必ずしもそうできない人もおられます。
私の入れ歯、おじいちゃん、おばあちゃんの入れ歯大丈夫かしら?とお思いなら一度ご相談下さい。