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2015/02/20
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入れ歯について知ろう−その9−入れ歯の歯と天然歯の違い

入れ歯の歯(人工歯)と天然歯は同じ形、つまり
元あった形に似せて作られているんでしょうか。

答えは似て非なるものです。
ざっくり言うと、

歯の大きさが違うこと
歯の山の高さが違うこと

です。


歯の大きさが違うというのは前に書いたキーワードのバランスに関係してきます。
人工歯は力が加わる入り口です。
入れ歯はこれまでにお話しした通り、微妙な力バランスで成り立つものですので
力が加わる入り口は小さい方がいいわけです。
そのため、とくに大きさのうち、頬舌的な幅がとても狭くなっています。
頬舌的といえば真っ正面から見た時の図でいうと
 ⇔
この幅のことです。
人工歯が広くなればそれだけ外れた力が加わりやすくなります。

人工歯自体はいろいろな種類があるのですが、
前歯部は見た目(審美性)のことがあるので、天然歯に比較的近い
形をしています。
その中でもサーパスという人工歯は日本人の歯に近い形をしているので
とてもマッチしやすいという印象があります。
逆に言うと天然歯を参考にしているので臼歯部は若干扱いにくい部分が
あることもありますが。

歯ぐきの土手の細さや幅、強さは人それぞれなのでそれにあわせて
選択するようにしています。




もう一つは山の高さです。
これもバランスがキーワードになるのですが、
顎の動きも含めて考えていくことになりかなりややこしくなるので
簡単に言うと噛んだ状態から横に動かしたときに
左右両方で当たるようにすることで安定すると書きましたが、
これが歯の山が高くなると左右両方で当てられなくなるためです。

山の高さの指標として咬頭展開角というのがあるのですが、
天然歯はおよそ30°程度あります。

人工歯はこの咬頭展開角で分類して
解剖的人工歯(30°)
準解剖的人工歯(約20°)
非解剖的人工歯(0°)

非解剖的人工歯は山がない真っ平らな歯で0°臼歯と呼ばれています。
これはこれで必要な時があるのですが、それは次回に。
解剖的人工歯は私の臨床ではあまり使用することはありません。
理由は先ほど書かさせて頂いた通りです。



ここまでのシリーズで書いて来たものを読んで頂くと
入れ歯って難しいからこそ緻密に考えられているんだと
思って頂ければいいかなと思います。


次回は変わり種の0°臼歯について書いてみたいと思います。



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