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歯科のレントゲンは安全?
歯科医院では、必要に応じてレントゲンを撮影することがあります。
レントゲン撮影では放射線を浴びることになりますが、人体に影響があるか?
ということが気になる方がおられます。
放射線を照射することが治療として行われていることもあります
(radiotheraphy、いわゆるガンの放射線療法)が、
放射線の影響を受けやすいのは以前にも書いた通り、
増殖能が高い細胞です。ガン細胞のその性質を利用しています。
ここで使用する線量は歯科で使用する線量より圧倒的に高いです。
赤ちゃんや、妊婦さんにレントゲンはどうなのか?ということについては、
上の考えからいうと、やはり放射線感受性が高いため、
できるだけ照射は避けるほうがよいといえます。
(しかし、はっきりとした影響としては明確ではありません)
歯科で使用するレントゲンでは、口腔内用デンタル・全顎的に撮影する
オルソパントモ(いわゆるパノラマ)、歯科用CTがあります。
一般的には前の2者が最も使用されるため、これらについてお話をして
いきますが、パノラマ撮影での一回の照射量は約0.03mSV(ミリシーベルト)です。
これだけではどれくらいの量なのかがピンと来ないのですが、胸部レントゲンを
撮影する際の線量は約0.05mSVと言われています。
日本からニューヨークへ飛行機を使って移動した場合、その身体に浴びる線量
(宇宙から降り注ぐ宇宙線)は約0.1mSVと言われています。
この数字から言うと、本当に影響がないように暮らすのであれば、飛行機での
移動をする方が問題であるともいえます。実際そのようなことはないですね。
歯科のレントゲンで浴びる線量はニューヨークまで行くまで浴びる線量より低い
ということになります。
(余談ですが、長期間宇宙線を浴びるパイロットは短命と言われています)
放射線医学研究所の放射線被ばくの早見図を参照していただくとよいと思います。
この数字から、放射線を浴びるリスクをとるか、放射線を浴びないことでむし歯などの
発見が遅くなるリスクをとるか、それは明らかなのではないかと思います。
定期検診時に1年に1回レントゲンを撮影することは、年に一度胸部レントゲンを
撮影することと同じ意義があります。
また、早期発見・早期対応することで問題なく経過する場合もあることから
小さい頃に歯がちゃんと揃っているのかなども確認するためにパノラマを
撮影することは必要と信じています。