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2016/06/19
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根管治療の問題;ジップとレッジ
歯の内部まで細菌が侵入した場合、抜髄あるいは感染根管治療となります。
根管治療は、感染歯質を取り除き、内部を緊密にお薬で封鎖するという治療ですが、
歯の内部の根管はまっすぐでないものが多く、湾曲しているものが多くあります。
一方内部の感染歯質を取り除く針状の器具をファイルと言いますが、
ここで、歯科から一旦離れて考えてみます。
金属のしなる細い剣のようなものを想像してください。
フェンシングのようなものです。
内部の壁を綺麗にしていくにはこの剣を徐々に太くしていく、という
のが根管治療なのですが、細い剣を徐々に太くしていくとどうなるか、
それは「しなならく」なります。
これと同じことが根管治療でも起こります。
しなりがある細いファイルでは根管に沿うのに対して、太くなってくると
根管を逸脱してしまうということが起こります。
これがレッジ(ledge)、ジップ(zip)です。
レッジとは本来の根管とは違う方向へステップ(段差)ができてしまうこと、
ジップはそれが根の先で起こる、出口が広く開いてしまうことです。
さらに厄介なのは、このレッジ・ジップがあると本来の根管へファイルが
誘導しにくくなるので、根管治療が非常に難しくなるということです。
そのため、湾曲した根管の場合は太くてもしなる超弾性のニッケルチタン製ファイルが
最も良いとされています。